ロジカルのよわさと、エモーショナルのつよさ
「ロジカル」という言葉の音は、聞き慣れないといかにも賢そうで、むずかしそうな言葉の響きを持っている。
あまり論理的な人間ではなかったわたしにとっては、ロジカルであることに少し畏怖の念があった。そんなエモーショナルよりのわたしだけれども、ふとしたきっかけで転職し、今は思いもしなかったコンサルティングファームで働いている。
人生は何があるかわからないのが面白い。
わたしが勤める戦略コンサルティング業界では、ロジカルシンキングをベースに事象を整理し、最適解をクライアントへ提示し、実行の背中を押すことが生業。
とてもかしこい人が多いし、みんなロジカルな人間。そりゃそうだ、コンサルティング会社は「人」以外何も持っていないし、投資するお金も資産もない。そこでクライアントへ提供できるのはロジカルシンキングから生み出した提案。ここでバリューを発揮していくしかない。
ロジカルこそ正義で、ロジカルこそ正しさの証明。ロジカルはすごいんだ、と思った。
そんな「ロジカル」だが、コンサルティングファームに入り、毎日トレーニングを積んでいくと、ロジカルシンキングは確実にできるようになるということがわかった。
いままで見えていた景色がロジカルによって、整理され、また違った見え方ができるようになる。そして最近では同事にロジカルの弱点もトレーニングを積んで見えてきた気もする。
わたしが考えるロジカルの弱点は2つ。
① クリエイティビティの喪失
② ロジカルで人は動かないこと
①について。ロジカルに考える、ということは「ファクト」を順序立てて積み重ね、その先の答えを導き出すこと。ファクトベースロジカルシンキングでは、行き着く答えは聞き手にとって「論理的に正しく、妥当性のあるもの」である場合がほとんど。
つまり、ロジカルな人間であれば誰もが辿り着く答えであって、クリエイティビティに欠けてしまうということなのです。
物事の整理整頓ではロジカルシンキングは有効だけれども、新しいルールをつくったり、価値観を創造するようなことは論理を飛び越えた「発想」には敵わない。
②について。ロジカルに説明されたところで、どれだけの人が説明通りに動くのか?きっとロジカルでは人の気持ちは変えられない。
いくらプレゼンでロジカルに語っても、正しいことを言っていても、一向に気持ちが変わらないクライアントを見てきたし、友人関係でもそうだ。
人の気持ちに変化を与えるのは、ロジカル以外のエモーショナルな部分(例えば、この人と仲が良い、信頼している等)の影響が大きい。もちろんロジカルであることは人のこころを動かす要素の一つではあるけれど、キーファクターではない。エモーショナルな人の方が、人を動かすことが得意である場合が多い。
ロジカルは整理整頓が得意だけど、新しいものを作り出したり、人を動かすことは苦手。ロジカルベースで生きるのはある意味合理的だけど、独善的になりやすい。
エモーショナルとロジカル、双方をバランスよく兼ね備えた人になりたいなと、仕事をしていて思った今日このごろです。
今日も訪問ありがとうございました。