あおやまの毎日日記

普段は経営コンサルタントのあおやまが日々の記録を綴ります。とくに意味はありません。

ディズニー映画「アラジン」の考察

普段映画はあまり見ない。なぜならば、学生時代ずっと映画館でバイトしていたからだ。

映画館でバイトをすると、映画公開前に「スタッフ限定試写会」なるものがあって、希望すれば作品を誰よりも早く無料鑑賞できる特権がある。鑑賞といっても、公開前の作品の映写用フィルムに問題がないか確認する会だ。

毎回深夜に上映会が行われるので、とにかくヒマな学生が集い、半分寝ながらも死ぬほど映画を観てきた。というか観させられた。もちろん劇場で販売しているポップコーンやジュース、ビールは飲み放題である。最高だった。(それがバレて13回ほどクビになりかけたのは内緒だ。)

結局、半分寝ながらも徹夜で映写フィルムを確認しても、異常があることは1回もなく、上映当日にトラブルのはフィルムが熱で溶けて巻き直しができない、絡まって巻けないことに起因するものが圧倒的だった。というわけで、徹夜で行われた試写会、作品確認会はとくに意味がなかった。それに気づいたときは、もうバイトを卒業したときのことだった。

今では、フィルムで映写するより、DVDやブルーレイで映写するシステムに切り替わって、試写会もやっているのか不明である。今度スタッフに聞いてみることにしよう。

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死ぬほど無料で映画を観てきたバイト上がりの小生だから、1,800円を払って映画をみるのはあまり気乗りがしない。だが、隠れアラジンファンの妻(昨日知りました)がどうしても、どうしても実写版アラジンを観たいというので、やむなく品川の映画館へ足を運んだ。品川アクアパークの手前にある、あれだ。

映画は評判通りの大人気で満席。リズム、ミュージック、ハーモニー、綺麗な映像、緩急自在な演出などなど、さすが人を魅了させるのがうまいディズニーと思わせる出来栄えだった。アラジンはアニメの内容もよく覚えていなかったので、これがアラジンか、と個人的に知ることもできてよかった。

ただ、見て考えたことがある。それは、これは原作を元にした単純なラブストーリーではない、ということだ。

みなさん原作はご存知だろうか?
原作は、『アラビアン・ナイト』(千夜一夜物語)として最も有名な物語のひとつの『アラジンと魔法のランプ』である。実は原作だと舞台は中国!らしい。どこもアラビアンではないが、その理由は不明。

原作の簡単のあらすじは以下のとおり。

中国で母親と貧乏暮らしをしていたアラジンが、「おれがお前の叔父だ!」と名乗るマグリブ出身(現モロッコアルジェリアリビアあたり)の魔法使いにそそのかされ、謎の穴倉中にあると言われる魔法のランプを取りに行かせることから物語が始まる。

いきなり知らない人に叔父だ!と言われたら確実に怪しいし、穴倉に入れと言われて入るところなど、ツッコミどころは無数だが、ここでは留保。

結局アラジンは魔法使いにまんまと穴倉に閉じ込められる。閉じ込められた穴倉で手に入れたランプを擦ると魔人(ジーニー)があらわれた。魔神はランプを擦った者の願いを叶える力があり、アラジンはその力を使って穴倉を脱出。そして大金持ちになり、念願叶って一目惚れした皇帝の娘と結婚する。

しかし、魔法使いは魔法のランプを奪い取り、アラジンの御殿ごと皇帝の娘をマグリブに連れて行ってしまう。(しかし、中国からアフリカってあまりにも遠くね?っていうツッコミは留保だ。)

だが、アラジンは指輪の魔神の力を借りる(原作では魔人が2体いるんですね)などして、魔法使いから魔法のランプを取り返し、魔法使いを退治して再び御殿を元の場所に戻し、皇帝の娘と無事結ばれる。というストーリーだ。これが原作である。有名な話だ。

も、もちろんわたくしは、こんな詳細を知っているわけもなく、wikipedia先生に助けていただいた情報を整理したまでだ。

おおまかなストーリーは原作と似ているが、1つ抜けているものがある。気づいただろうか?原作ではアラジンは盗人ではないのである。ディズニー作品では、盗人、ドブネズミなどあだ名がつけられていて、街で生きるためにコソ泥を繰り返している。

なぜアラジンを盗人にする必要があったのか?貧しい出身から盗人にする必要もあるまいし、アラブ人は盗人が多いというわけでもない。

アラジンを盗人にした背景に、何かに影響を受けているのではないかと考えた。ディズニーがなんとなく盗人にするわけがない。小生はこのアラジンを見終わった瞬間、「ルパン三世カリオストロの城」とアラジンを重ねずにはいられなかった。

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カリオストロの城とは、ジブリ宮崎駿氏が監督、脚本を務めたルパン三世の名作映画。1979年に放映された映画だ。今年フランスでも上映されたらしい。

カリオストロの城でも、アラジンのジャスミンのようなヒロインがいる。結婚を拒んでいる国の亡き大公の娘クラリスという女性だ。父にかわって国を治めているカリオストロ伯爵に結婚を迫られたため逃げ出したところから物語が始まる。とても類似した設定だ。

そこでカリオストロ城で盗みを仕掛けているルパンと出会い、ルパンに危機を助けてもらい、ルパンに心を奪われる。そこで、映画のラストで、銭形警部がこう言って幕を閉じる。

「ルパンはとんでもないものを盗んでいった。それは、あなた(クラリス)の心です」という名台詞で映画が終わる。これだ。


アラジンに応用するとこうなる。

「(盗人である)アラジンはとんでもないものを最後には盗んでしまった。それは、女王ジャスミンの心とこの王国だ。」

アラジンはファンタジックラブストーリーと見せておいて、人の心と王国までも盗んでしまうアラジンの壮大な物語なんだと。

カリオストロの城が公開されてから、13年後、アラジンが公開された。年代から見ても、影響を受けていると十分に考えられる。じつはアラジンは日本の巨匠、宮崎駿が描いたカリオストロの城に影響を受けた名作なのだ。

どの絵画も、音楽も、映画も、芸術にはそれぞれ原型があり、模倣があり、下敷きがあり、影響を受けて進化している。ディズニーも例外ではない。

とまあ、ここらへんにしておかないとディズニーファンに怒られそうなので、、、妄想はこのへんで失礼します。